「IP方式による地デジ再送信の「論点」」
例によって西正さんの頭痛い(^^;コラムですが・・・
まず
アナログ停波後の条件不利地域への対応という点では、衛星を使う方が現実的だ。降雨減衰への対策が施されれば、衛星を使うことの問題点は少ないし、衛星であればRFで送られるため、著作権問題も発生してこないからだ。
とのっけから頭痛が痛くなる(^^;ような
断定で始まってますが・・・
「降雨減衰への対策が施されれば」とか簡単に書いてますが、これは物理現象なので対策するのは難しい。
やるとしたら、衛星からの送信出力を上げる(=衛星の大型化=衛星価格の増加)か、大きなパラボラなど大型の受信設備を用意する(=受信設備の大型化=受信設備価格の増加)か、雨を降らせなくするか(^^;しかない。
そもそも「RFで送られるため、著作権問題も発生してこない」という考え方が間違っている。
なぜ現在のBSやCSで著作権問題が発生しないかというと、受信設備(デジタルチューナーなど)が汎用品ではなく、専用のチューナーとして完結した製品になっていて、そこから復号されたビデオストリームを直接PCなどへ引き出す方法がカジュアルな方法では存在しない(もちろん専門的知識があってアレをソレすれば・・・)という事。
また、基本的にはサービスエリアは日本全国で、国外へは電波が届かないので、仮に国内で入手した受信設備を国外に持ち出しても受信できない(多少の漏れはあるので、韓国など近隣諸国の一部地域では受信できるが、かなり限られているので誤差の範囲として問題にされていない)。
地上デジタルの場合県域放送なので、サービスエリアは基本的に都道府県に限られる(一部複数の都道府県をまたがる放送局もある)。
これを衛星で再送信してしまうと、たとえば東京の知人などにactiveにしたB-CASカードをもらえば、北海道だろうが沖縄だろうが東京の放送が受信できてしまう。
衛星を複数にするとか、アンテナを工夫して一部の地域に絞るというのもある程度はできるだろうが、衛星価格などの面から、やってもせいぜい西日本と東日本に分ける程度しか経済的に無理でしょう。
結局、「RFだから著作権問題が無い」のではなく、衛星の電波特性とサービスエリア、専用の受信設備など、著作権問題をクリアできる環境が整えられているから問題になっていないに過ぎない。
IP方式による地デジの再送信が行われることになるのは時間の問題とは思うが、その「時間」が長くなるか短くなるかを決めるのは、技術的な問題もさることながら、著作権問題の解決に行き着くのではないだろうか。
これは「さることながら」とかいう別種の問題じゃなくて、「著作権」と「それを守る技術」という表裏一体のもので、確実にサービスエリア以外には漏洩しない技術があれば著作権問題は解決するし、バンバン漏れても関係無いと著作権者側との合意が取れれば既存の技術で問題無い。
まぁ、実際はそこまで両極端じゃなくて、「ほぼ」漏洩は止められるので著作権者側としても妥協しましょうという形に落ち着くと思いますが・・・
実際には、インターネットで運ばれるわけではなく、クローズドな環境で視聴されるため、県域で放送が区切られることになる。まったくの誤解なのだが、そうした風説が流れるほど関係者間でもよく理解されていないのが実態なのである。
良く理解してないのはアンタだろ(^^;
放送局からIPで再送信される先は確かにNTTの収容局単位で制限できるだろう。
これは既存のフレッツスクエアと一緒。
ただし、そこから更に別の場所へ転送するのが非常に容易にできてしまうというのが問題。
一旦IPになってしまえば、トンネリングするなりNATかけてルーティングするなり、その辺で数千円で売ってるブロードバンドルータがあればできてしまう。
帯域さえあれば、国内の実家に置いたブロードバンドルータを介してアメリカからだって放送を受信する事ができる。
デジタルのまま取り出せるかどうかというのはARIBも非常に気にしている部分で、たとえばPCIやUSBなどの汎用バスには生データを流してはいけない(一定レベル以上の暗号化がされていればOK)という制限があったりする。
そのため、地上デジタル放送が始まっても地上デジタル対応のキャプチャーカードとかがあまり出て来ないという事になってたり・・・
これを解決するには、IPを取り出せないように、光メディアコンバータやADSLモデムを内蔵した専用チューナーを作り、放送に付いてはHDMI等でしか取り出せないようにするしかないだろう。
光メディアコンバータからの出力をマルチセッションで受ける形だと、容易に横から取り出すことができてしまうので。
こういう「専用機」になってしまうと、結局CATVのSTBと何が違うのか?という話になってくる。
局舎と家庭の間のプロトコルがIPかそうでないかという違いだけで外見上(ユーザからは)全く違いが無い。
という事になれば、当然CATV局は存亡の危機(^^;となる訳で、揉めて当然。
CATV局は、基本的には地域独占(1地域1CATV局)で放送される「免許事業」だ。
独占に胡坐をかいてたという見方もできるかもしれないが、逆に競争のために他エリアに拡張することも制限されていた。
そこに「局舎と家庭の間のプロトコルがIPです」というただそれだけの理由で(CATV局に比べれば)大手資本の通信会社が自由に乗り込めるという事になればCATV局としては「やってられね~」という話になるだろう。
だから、放送局の演奏所(マスター)から直接、光ファイバーを通じてIP方式で運びだしてしまうことになると、それはもはや同時再送信ではなくなってしまう。送信そのものである。
何か「再」が付くのと付かないのにかなり拘ってるようですが、アナログであれば大きな違いはあるけど、デジタルであれば多少の遅延が発生する以外に全く違いは無い。
もちろん
ただ、画質のことを問題にするのであれば、演奏所から直接、光ファイバーで送信する方が上であろう。
なんて事も無い。
「同時再送信」と「蓄積型再送信」に付いては大きな違いがあるけど、「再送信」と「送信」には字面以上の違いは無い。
もしかしたら、IP向けに別の番組を流すとか、権利処理し切れなかった部分はIPに流さないという事を想定しているのかもしれないが、それは「出るものが違う」という問題であって「出た所が違う(一旦放送波を受けてIPにするか直接マスターからIPで出すか)」という問題とは別種の問題。
ところで「演奏所」って何?(^^;
法律用語(?)として「演奏所」というのはあるけど、これはスタジオからマスターまで全部含めたものを指す言葉で、マスターの日本語訳(謎)としては「主調整室」が適切。
スタジオのカメラで撮影した画像やマイクで拾った音と他の素材(VTRや中継など)を副調整室(サブ)で番組として編集し、主調整室(マスター)でCMなどを入れて放送されるという流れなので、「演奏所から直接」とか言われても、どこから取り出すのかサッパリわからない。
まぁCMも入れずに放送するなんて事はあり得ない(^^;から、出すとしたら主調整室(マスター)からになるんだけど、マスターから出たデジタルのビットストリームは、電波に載せようとIPで送信しようと同じもの。
一旦電波に載せたものを受信してIPになおしても、電波状況さえ良好ならデジタルである以上劣化は無い。(遅延はある)
「演奏所」とか法律用語(というか専門用語?)を出して、さも良く知ってるようにみせかけようとして墓穴を掘った系?(謎)
結局、何が言いたいんだ?(^^;>西正
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