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2005.12.09

みずほ証券のアレ

みずほ証券の誤発注問題で、続報からだいたいの流れは見えてきたっぽい。

・まず最初に誤発注した時に、警告が出たけど良く出る警告だからと無視。
・本当に誤発注だと気付いて取り消ししようとしたけど、値幅制限から57万2千円に切り上げられてたのに、1円の注文を取り消そうとして該当する取引が無いから取り消し不可となった。(誤注文取消し失敗)

という事だったらしい。
証券取引という観点からの話は専門家に譲るとして、コンピュータ屋の観点から考えてみよう。


まず一番大きな問題は、スルーする場合が多い警告表示の問題。
警告が出ても無視する場合が多いと、本当に必要な警告が出ても無視されてしまって機能しなくなってしまう。

これは通常PCを使っていても良く出くわす事で、最近のWindows(XP SP2以降)ではインターネットからダウンロードした実行ファイルを実行しようとすると警告が出る。
デジタル署名がある場合は黄色で、デジタル署名が無いか、あっても正当なものでなければ赤色で出る。
一見便利で有益な機能に見えるけど、結局ほとんどの場合は「実行」を選択する事になる訳で(実行するためにダウンロードしてるんだから)、これを繰り返すうちに「セキュリティの警告が出たら「実行」」という条件付けがされてしまって、そのうち「ただ面倒臭いだけの機能」になってしまうと思う。

同様な事は家電品の取説にもあって、最近ではPL法の絡みもあり、取説の最初に大量の警告が並ぶ事が少なく無い。
通常の使用では危険が無いような事までいちいち書いてあって(中には重いから一人で持つと体を痛める事があるみたいな警告まである。持ってみて重けりゃ一人じゃ無理だなってわかるだろ)、ほとんどPL法により訴えられた場合のエクスキューズとして存在しているだけで、誰も見る事は想定していないし、実際ほとんどの人は見て無いんじゃないかと思う。
そういう中に、本当に取り扱いに注意を要するような事があったとしても、結局誰も見てないという事になってしまう可能性が高い。

不必要な警告は、必要な警告が出ないのと同じようにユーザを危険に晒すものだという認識が必要なんじゃないだろうか?
その警告はエクスキューズのためですか?ユーザを守るためですか?本当にユーザを守る機能を持ってますか?


次の取消しができなかった件ですが、これは自動処理(売値の制限値への切上)がどこで行われていたかと、ユーザへフィードバックされていたかどうかという点にポイントがあると思います。
どこで行われていたかというのは
・東証側で制限値以下の注文が来たら自動的に下限値に切上げる
・東証側に制限値以下の注文が来たらエラーとして、証券会社側で自動的に下限値で注文を出しなおす
という2通りがあって、どちらかな?と。
前者であれば、小さな親切大きなお世話(死語)機能な気が・・・

また、こういう自動処理が行われた場合、その自動処理をユーザへフィードバックされていなければ、ユーザとしては「自分は1円で注文したんだから1円を取り消そう」と考えるのは自然な事で、もっと言えば、値段がいくらになっていようと、注文というトランザクションをトランザクション番号なりで取り消せる(自動的に価格が変わっているならそれに追随して変わった価格で取り消せる)機能があれば、こういう問題は起きなかったのではないかと思う。

工場などの機械では、人が巻き込まれたりといった事故が起きた場合に緊急停止させるBig Red Button(赤い大きなボタン)が付いてる場合が多い(というかそういう危険がある機械にはほとんど付いてる)。
緊急時の対応というのは、そういう単純さが必要で、知識や訓練が無ければ対処できないようでは機能しない場合が多い。

切上げの自動処理が東証側にあったのか、証券側にあったのかはわかりませんが、そんな所を自動化するよりも、誤注文の取消しの自動化(もちろん取消しのきっかけは人がやるとして)、単純化が必要だったのではないだろうか?
いっそ自動処理無しで、値幅制限以下の注文はできないようにでもしていれば、今回のような大問題にはならなかっただろう。
まぁ、今回の件では初値が付く前に注文が出ていて、その時点では制限値も無かったという話があるので、注文時点で排除するのはできなかったかもしれないが、初値が付いて制限ができた時点で下限値を下回る注文を自動切上げせずに破棄していれば、被害はもっと少なかったのではないだろうか?

「自動化」というのは便利ではあるけど、それはあくまでも「人間がコントロールできる範囲では便利」なのであって、人間がコントロールできない(しにくい)見えない所で勝手にやってくれる便利というのは危険と隣り合わせという場合も少なくないという事は認識しておく必要がある。

コンピュータというのはプログラムによって自動的に処理を行って「便利」なものではあるけど、その「便利」を提供するに当って発生する「危険」がどれだけあるのか。
人に見えない所で勝手に何かやるなら、簡単な操作で自動的に元に戻せる(危険を回避できる)機能を備えているか。
そういう観点での評価も必要になってくると思う。

サーバの管理とかしている人の間では、Windows系よりもLinuxや*BSDを含めたUnix系の環境を好む人が多い。
それは何もサーバ管理者にアンチマイクロソフトな人が多い訳じゃなくて(^^;、Windowsの場合、GUIによって自動的に処理している内容が隠蔽されていて、内容が把握できない(把握するのが困難な)部分が多いとか、パッケージのインストール/アンインストールをOSとして把握する仕組みが弱いというのも理由の一つだろう。
「コントロールできない自動処理」への不安がWindowsへの不信につながっているのではないだろうか。
結果、そういう危険を認識していない初心者、どうせ危険があっても対処できないからいいやという自暴自棄な人という最下層と、完璧に不安が無い程のWindows Wizardとなった人(またはそういう人の助けを得られる人)という上位層はWindowsを好んで使い、それ以外の中間層はUnix系を好むという住み分けになっているように思う。
(好みと実際に導入するシステムは乖離してる場合も少なく無いが)

自動化をする場合には「便利」と「危険回避」の匙加減が重要になってくる。

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コメント

 突然停電で打ち込んだソースが吹っ飛んだ、とかいうのじゃなく、自分でリセットボタンを押しちゃった、みたいなもんですな。
 かのオペレーターの心中(しんじゅう、じゃなくて、しんちゅう)を思うと思わず笑いがこみ上げてきます(悪い奴)。

投稿: くろはた | 2005.12.09 21:39

どこかのマンション問題ではないけど、
こんな注文が通るようなシステムを作ってしまった
ソフトメーカーを訴える…のは無理だろうな(^_^;)

注文出した人は解雇…かなあ。

投稿: あにゃ | 2005.12.09 22:35

>くろはたさん
昔NECのPC9801を使ってて、リセットボタンを押したと同時にセーブしてないデータがある事に気付いて、ボタンを左手で押したまま右手でセーブ操作を行ったという事がありました。
いゃ、危なかった(^^;

# PC9801ではリセットボタンを離した時にリセットがかかる

>あにゃさん
まぁ、過去との互換性とか、変更すると影響範囲が広いとか、色々な理由で「コレって危ないんだがな~ぁ」というのがそのまま運用されてるというのは良くある話で・・・(^^;

投稿: <セルダン> | 2005.12.10 01:51

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