「マスコミは“斜陽産業”? 週刊誌が生き残る条件とは」
前回「週刊誌の記事が“羊頭狗肉”になる理由」もちょっと言及した「出版&新聞ビジネスの明日を考える」シリーズ(謎)
まずは
ネットは誰でも情報が発信できるからこそ、その中身については玉石混淆(ぎょくせきこんこう)の感はぬぐえないが、少なくとも既存メディアが発信する情報については一定の信頼は担保されている。
この認識を改めるべきじゃないですかね。
ネットの情報は玉石混淆。
これは正しいかもしれない。
だけど、週刊誌の情報も同じように玉石混淆だと思ってる読者が多数なんじゃないでしょうか。
まぁ、玉ばかりだと信じられてきた新聞やテレビにも、石をいいかげんに磨いただけのやメッキしただけの「玉」が混じってるのがバレてきてますが・・・
ネットにしても既存メディアにしても玉石混淆というのは同じ。
違いは、どちらに「玉」が多いか、「玉と石の比率はどのメディア(ネットも含めて)が高いか」という点だけでしょう。
で、比率は別にして、ネットは参加者の増加に併せて急激に「玉」の数が増えて来ている。
たとえ「玉」の比率が、ネットは既存メディアの1/100であっても、100倍の情報量があれば同じだけの数の「玉」がある。比率が1/1000でも1000倍の情報量があればやはり玉数は同じ。
「マス」が情報を出すというのは、こういう意味がある訳です。
比率については、やはりネットよりも既存メディアの方が高いというのは間違い無い所でしょうが、じゃあ何で「比率が高くないといけないか」を考えると、「比率が低いと石の中から玉を探し出す労力が必要」だからですね。
逆に、いくら石が多くても探し出す労力が十分低ければ、比率の高低はメディアの優劣に結びつかない。
で、ネットの環境を考えると、
・情報を出す人
・興味のある情報を拾い上げる人
・拾い上げられた情報に付加情報を提供する人
・それらの情報を検証する人
の共働によって、石の中から玉を見つけ出す仕組みがある。
石を見たくない人は、こうやって探し出された玉だけを見る(たとえばまとめサイトとか)という方法もある訳です。
もちろんこの「玉」には偏りがあるでしょうが、既存メディアにも偏りはあります。
また、週刊誌は1週、新聞は1日、テレビはその瞬間に情報に接しないと受け取れませんが、ネットの情報は基本的には全て蓄積されるので、半年前、一年前の情報であっても拾い出す事ができ、また時系列で情報を再構成する事もできるという、既存メディアにないメリットもあります。
ですから、「ネットの情報は玉石混淆だ(だから既存メディアより一段下だ)」というのは、「週刊誌は二流メディアでテレビや新聞より一段下だ」というのと同じ事を次元を変えて言ってるだけなんですね。
週刊誌は「一流」メディアの下ではなく補完的存在なんだというのであれば、週刊誌もネットを「既存メディア」の下ではなく補完的存在だと認める所から始める必要があるでしょう。
では、ネットを補完的存在と認めると、どういう展開が見えて来るかというと、「補完」すなわち、相手に無いものを補う事ができれば存在意義も見えて来る訳です。
新聞や雑誌といったものには、大きく分けて
・情報を作り出す。見出す。(取材)
・情報を広める。
という2つの役割がある訳ですが、後者の「情報を広める」という機能は大きくネットにシフトして行っています。
ですから、こちらに注力する(販売部数を維持する・増やす)というのは「補完」ではない。
となると、残された「補える部分」は取材にしかない。
特に足を使った裏付け取材はネットが弱い点だと思います。
まぁ、これは既存メディアの人も重々わかってはいるんだろうけど、紙を販売しない事にはカネが入って来ないんだから、取材するための費用も出ないという事になる。
それなら、残された道は「紙を販売しなくてもカネが入る」方法を探るしか無いのではないでしょうか。
これは、その道が良いか悪いかという話ではなく、それしか道が無いんだから進むしかない。
ならば、新聞や雑誌がネットに情報を載せてカネが入る仕組みを考える必要がある訳ですが、広告を入れても十分に回収はできていないという現状がある。
それはなぜか。
新聞や雑誌がカネをかけて一次情報を作っても、それで広告収入を得るのがヤフーニュースだったり2ちゃんねるだったり、そのコピペサイトだったりと、他所に「情報の価値」が流出しているからではないでしょうか。
「新聞は読者のソーシャルパワーを生かせていない――Gartner調査」という記事もありましたが、カネの面で見るとPV=パワーであり、PV、滞留時間を延ばせばそれだけ広告収入も増える。
そのあたりの対応を疎かにして、ヤフーやmixiに「情報の安売り」をしてほとんどの広告収入は他社に奪われるという結果を引き起こしているように思います。
であれば、極端な話、新聞社や雑誌社が自社の取材によって生み出された情報をネタにした自前の「2ちゃんねる」を作るというのも一つの方法かもしれません。
あくまでも「極端な話」ですが(^^;、「情報の価値」を自分の所に落とすか、「情報の価値」に見合った料金で情報を売るしか方法は無いんじゃないでしょうか。
少なくとも現状は、情報を安売りし過ぎていると思います。
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